2013年3月13日星期三

「いつまでも家で暮らしたい」という声を受けて環境を整えてきた

「認知症」人生の最後まで地域で暮らすには何が必要か■薬の使用減、介護者支援、住民の協力訴え

 認知症の人が、人生の最後まで地域で暮らすには何が必要か-。認知症の人の増加が各国共通の課題となる中、5カ国から施策のキーパーソンが集い、「認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム」(東京都医学総合研究所主催)が1月末、東京都内で開かれた。(佐藤好美)

 英国、フランス、豪州、デンマーク、オランダの政府関係者や支援団体の担当者らは「家での暮らしを支援する」で一致。抗精神病薬の使用減、介護者への支援、地域住民の協力などを訴えた,与党の保守・国民党は43%にとどまった

 ◆ケアは「人の対応」

 英国保健省で認知症施策にあたるアリスター・バーンズ氏は「認知症の人への抗精神病薬処方を、できる限り減らさなければならない」と訴えた。英国では、2006年には約6万人だった認知症の人が診断率の上昇で11年には14万人超。一方で、抗精神病薬の処方割合は17・05%から6・80%に下げることができた。認知症の人のケアが「薬で静かにさせる」ことから、「人の対応」に移っていることを示した。

 抗精神病薬の高齢者への使用では、死亡率を高めるとの報告や、認知症の人への処方で急性心筋梗塞のリスクを高めるなどの研究結果もある。バーンズ氏は「(英国では)処方そのものを禁止しようとの意見もあったが、良いケアを推進することが重要。抗精神病薬の利用割合は、認知症の人にどんなケアをしているかのバロメーターになる」と指摘した。

 ◆どこで暮らすか

 オランダでは70~80年代に、高齢者の施設入居率が欧州で最高だったが、現在は約25万人の認知症の人の7~8割が家で暮らし、半数が1人暮らし。約6万人がナーシングホームなどで暮らす,大使館に相当。同国アルツハイマー病協会のジュリー・メアフェルトさんは「認知症だからといって病院で生活する人はいない。以前は施設介護が前提だったが、今は在宅ケアの重要性が認識されてきた」と、「脱病院」「脱施設」の流れを解説した。

 こうした施策の背景には、入院や入所が多かれ少なかれ当人の生活の制約になるとの認識がある。

 「夜の10時に不穏になる認知症の人には、病院では薬が使われるかもしれない。しかし、その人はひょっとしたら、いつもその時間に帰ってきた夫のために食事を作ろうと思っているかもしれないのです」(バーンズ氏)

 長期入院に注ぐ目も厳しい。「アルツハイマー病患者のほとんどは在宅で暮らす。1000人未満が精神科病院にいるが、入院期間は2カ月程度」(フランス)。「精神科病院に入院する人は非常に少なくなってきた。抗精神病薬の使用も減らし、肉体的にも精神的にも拘束のない環境の実現を目指している」(豪州)。「問題行動があっても、ケアは自宅や施設で当事者中心。精神科病院での治療はほとんど外来で行われる」(デンマーク)

 ただ、豪州保健高齢化省のラッセル・ド・バーグ次長は家での暮らしを推奨しつつ、「精神科病院などの閉鎖後、進行した認知症の人が施設に入居しており、そこで問題があることは否定できない」と課題も指摘した。

 ◆家族への支援

 オランダでは施策に先だち、患者や介護者の調査を実施。「いつまでも家で暮らしたい」という声を受けて環境を整えてきた。このため、介護者への支援も厚い。

 取り組みは地域にもよるが、介護者が匿名性を維持しながら情報交換できる。「アルツハイマーカフェ」は20カ所から220カ所に増加。介護する人を支援するセンターでは専門家の情報提供、介護者のコンサルティングも行う。メアフェルトさんは「在宅の介護者の負担が重い。より望ましい状態で家族をケアできるようにすることが必要です」と指摘した。

 ■日本の取り組み サポーター養成講座に注目

 日本の取り組みは、厚生労働省の原勝則老健局長が紹介した。原局長は現状について、「認知症と気づかずに放置し、問題行動が現れてから医療機関に駆け込むケースが多い。早期受診、早期対応ができずに症状悪化を招いている」と指摘。精神科への入院では「治療が済めば地域へ帰れるのに、帰れないまま入院している人も多い。一般病院で医療従事者が認知症を理解しておらず、入院を拒否されるケースもある」と、率直に課題を述べた。

 日本では、認知症の人の約14%(38万人)が入院している。精神科入院は約5万人とされるが、入院日数は長く、血管性認知症などで治療病棟に入院する人で700日弱。アルツハイマー病でも300日超に上る。

 一方、日本独自で注目されたのは「認知症サポーター制度」。自治体や企業などが行う90分の養成講座を終了すると、サポーターになれる。今や小学生から高齢者まで約336万人がサポーター。講座では、認知症の人が何に困り、どんな手助けが必要かを学ぶ。周囲の助けで認知症の人が地域で暮らせるようにするのが狙いだ。

 豪州でも、認知症の人との接点がある救急隊員、消防、警察、小売業、銀行、公共交通機関のスタッフなどには教育研修が行われるという。同国のバーグ次長は「一般の人が認知症の人に優しくでき、不安を軽減できればいい。認知症の人への支援は単に政府の責任ではない。研究者、介護者、家族、地域社会、雇用者、企業、教育機関などが協調して対応していくことが必要です」と指摘した。【関連記事】 認知症の高齢者300万人超 65歳以上「10人に1人」 生島ヒロシさん、8年間の介護…支えは妻の明るさだった 町亞聖アナ、10年間続けた母の介護「家族の絆くれた」 “ロコモ対策”は若いうちから! 成人の約半数が要介護予備軍 高まる関心、住み慣れた家で「在宅ひとり死」迎えるには? 石原慎太郎氏独演

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